2006
10.24

ざわざわざわざわ、ざわざわざわざわ、
化け物どもが騒ぎ出す、十月末の風の宵、
モンスター・バグも浮かれ出す。

普段は大人しいモンスター・バグ、
少しも動かず物言わず、
そいつが一世一代の大決心。

「じっとしているのはもう嫌だ、広い世界を見てやるぞ!」

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素早く動く長い脚は 切りたて新鮮オニオンスライス、
ぐっと見据える緑の目は 香り芳しき瓶詰めケーパー、
丸く平べったい胴体は こんがりジューシーハンバーグ。
ケチャップの血糊に塗れながら、
自由を目指す モンスター・バグ。

ああ、しかし、冷酷無惨な運命が突如モンスター・バグに襲い来る。

「た、助けてえ!」

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いかにモンスター・バグといえど、運命からは逃れられぬ。
巨大なバンズにはさまれて、
哀れ、モンスター・バグの命運は尽きたり。 
せめて手向けに、チーズとレタスを。 (ナルシア)

「あーおいしかった」(マーズ)

2006
10.23

普段なら絶対買わないような色のお花を買ってしまいました。
まるで魅入られたかの様に。

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目が痛くなるようなオレンジ色のガーベラ。
これぞまさしく、ハロウィーンオレンジ!
右の、レンガ色のガーベラもなかなか秋らしい。

しかし、乾いた木の葉が風に鳴る、闇のお祭りハロウィーンに
可愛いお花なんかが似合うはずは、

‥‥あら。似合う。

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柿、じゃない花器はエナメルを塗った金属製のランタン。
中のガラス製のキャンドルスタンドに水を注いで、花を挿しています。
レモン色の小花は庭で好き放題に伸びているウィンターコスモス、
黄緑の葉は今満開のシュウメイギク。

それではみなさま、軽い食事などもご用意致しましたので、
ハロウィーン当日まで、ごゆっくり。

(ナルシア)

2006
10.22

ハロウィーンが近づくと、大人も
子どもの世界に逆もどり。

子どもたちはもちろんのこと、
コワイ存在が気になってしかたありません。

そんなとき、こんな絵本を一緒に読めば、
ハロウィーン気分を増幅してくれることでしょう。

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主人公は小さな迷子の女の子。
森のなかの、こわいものがたくさんたくさん
住んでいるお城へ、ひとばん泊めてもらうのです。

かいぶつたちは、大喜び。
だって、こわがらせることができるんですから。

だけど、女の子ときたら、ちっとも
こわがっていません。

しっぽのあるトロルだろうが、
魔女だろうが、
オバケだろうが、
ライオンだろうが、
モンスターだろうが・・・

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でもね、よく考えてみたら、
この子は一日じゅう、森のなかを迷って、
パパとママを探していたんです。

夜露をしのげる屋根があって、
たべものをもらえて、
眠れることを思えば、
ちっともこわくなんか
ないのかもしれませんね。

そして、
私にとってなつかしいのは、
昔の翻訳児童書によく出てきた「バタつきパン」
っていう言葉が、ちゃんとここに出てくることです。
小さな女の子は、夕ごはんだけでなく、大きなのを3枚、
朝ごはんにもごちそうになりました。

魔女のつくった不気味なスープは、遠慮しました(笑)
2006年10月22日

『おばけやしきへようこそ!』
著者:キッキ・ストリード
絵:エヴァ・エリクソン
訳:オスターグレン晴子
出版社:偕成社1996

2006
10.21

ひさしぶりに魔女三人が集まり、

ナルシアの住処で魔女会をしました。

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今日の主役は、ハロウィーンのお料理。

ということで、23日から

少しずつ、ご紹介いたします。

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どうぞ、

お楽しみに。

写真のオーナメントは100均で入手。
なんという浸透率!今年はどこもハロってます。

2006
10.20

闇の世界の住民の皆様、一大事でございます。
黄泉の国の支配者、冥府の王なる偉大なるプルートー様の身の上に
思いもよらぬ災厄が起きてしまいました。
皆様方もすでにお聞き及びでしょう、
九十年の間、太陽系第九番目の惑星として親しまれてきた
Pluto(冥王星)が、惑星としてのその座を追われてしまったのです。

他の八個の惑星と比べ、とても風変わりな小さな星冥王星は、
本当に惑星と呼べるのかと長い間論争を巻き起こしてきました。
そこへ昨年7月、冥王星より更に太陽から離れた所に、
新しい天体が発見されたから大騒ぎ。
こ、これは新しい惑星と認定して良いのか?
冥王星が惑星なら惑星なのだろう、だって冥王星より大きいぞ!
こんな事をしていたら、太陽系に際限なく惑星が増えてしまう。
そんなこんなでこの八月の国際天文学連合の総会でとうとう、
冥王星は惑星ではない、という全世界を揺るがす結論が出されてしまい、
その翌月、冥王星をその座から追い落とす大きな原因の一つとなった
天体2003UB313は矮惑星「エリス」と命名されました。

不和と争いの女神エリス。
彼女はある時、ギリシャの神々の結婚式に一人だけ招かれませんでした。
仕方ないですよね、不和と争いが起きては困る場所ですから。
しかしそれを恨みに思った諍いの女神は、
パーティー会場に「最も美しい方に」と書いた
黄金のリンゴを投げ入れたのです。
この時美を競いあった三人の大物女神達の裏工作はものすごく、
審査員のトロイアの王子パリスが選んだのは、
自分を選んだら世界一の美女を与える、という約束をしたアフロディテ。
そして彼に与えられた報賞というのが、絶世の美女ヘレン。
‥‥スパルタの王妃じゃないですか!王が黙っている訳がない!
と、言う訳で、名高いトロイア戦争が始まってしまうのでした。

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貴女のせいでこんな大変な事になってしまった!
どうしてくれるんです!
と、いう事で名付けられたのですね、矮惑星エリス。

知りませんよ、そんな事。
太陽の光すら届かぬ暗い冷たい宇宙の中に、
人間等より神々なんかよりずっと前から居たんですから。

(ナルシア)

2006
10.19

かぼちゃのポタージュ、

ル・コルドン・ブルー監修。

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材料の野菜は、

かぼちゃ、じゃがいも、たまねぎ、さつまいも、
にんじん、赤ピーマン、しょうが、
ねぎ、にんにく。

加えて野菜エキス、
これにはキャベツ、白菜、セロリ。

緑の点は、パセリのうきみ。

チキンブイヨンも入ってます。

さすが、いろいろな味わいが出ていて深い。

インスタント臭がほとんどない、自然な風味。

これけっこう、お皿で出すと、

わからないかも(笑)

ハロウィーン風に、骨つきのチキンと、

こわい目鼻を切り抜いた

ピーマン焼きなんか添えてみたりして。

(マーズ)

2006
10.18

晴れた空で風がごうごうと鳴る休日の午後遅く、
普段あまりひとけのない住宅地の辻々を子供の影が走ります。
自動車の多いあちらの通りを、こちらの色づいた柿畑の中から、
皆吸い寄せられるように旧い家並みの残る
集落の方へ向かっています。
何があるんだろう。
赤ちゃんを抱えたお父さんや杖をついたおじいさんや、
ぽつぽつ大人も出ていますが、子供達のように急いではいません。

あ、K君じゃないか。おーい、何してるの?
「天狗!天狗!」
てんぐ‥‥?
天狗が出るの?
「天狗をおいかけてるの」
一緒にいるK君の友達が説明してくれます。
天狗を追いかけてる?

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追いかけてる、と言う割には細い路地の角ごとで、
K君はおっかなびっくり遠くを透かして様子をうかがっています。
ねえ、天狗って怖いの?
男の子だから、怖い、とは口にしないけれど、
振り返ってにやあっと笑います。
そうか、そんなに怖いのか。

路地の向こうで自転車に乗った男の子達が
一方を指して大騒ぎしています。
「天狗あっちあっち!」
「さわれなかったあ」
「追っ掛けられて逃げて来た!」
どうやら天狗に触るとご利益があるのだけれど、
怖くてなかなか近づけないらしい。
辻ごとに子供達の天狗情報が飛び交います。
女の子のグループは、怖い怖い、と尻込みする友達を
なだめすかして引っ張って行きます。

どうやら大人達はゆるゆると
古くからある神社に向かっているようです。
あそこの主神は木花開耶姫命でしょう。
なんで天狗が跳梁するのだ?
歩くでもなく止まるでもなく、といった感じの大人達の間を、
風に舞う木の葉のように子供達が吹き抜けてゆきます。
天狗は子供の目にしか見えないのかな。
私にはもう見る事ができないのかな。

傾斜のある狭い路地で大人達の歩みが止まりました。
人混みの隅で、水色の水干に紗の烏帽子の神官様がかがんでいます。
あの方が天狗?
違いますね。
幼い子達も嬉しそうに進み出て、
額に白粉で八の字を描いて貰っています。
人混みの向こう、橋の前の坂道で
紫と紅と金で飾られた神輿が夕陽の中で揉まれています。

堤防の上の自転車の女の子が、
河の向こうを指して通る声で叫びます。
「天狗あっちにいっちゃった!」
橋を渡れば山裾の神社、そうか天狗はもうお山に帰っちゃったのか。
残念そうな男の子に、年上の女の子が元気よく言います。
「お金持ってきてよかったね。お店いっぱい出てるよ!」

あるじゃないですか、日本にも。
豊かな収穫を言祝ぐ季節、恐ろしい異界からの来訪者を迎える、
子供達にとってはスリリングかつエキサイティングなイベント。
額に白いフェイスペイントを施して、風の中を翔る翔る。

(ナルシア)