10.31
1999/USA
[ Sleepy Hollow ]
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ/クリスティーナ・リッチ/クリストファー・リー/クリストファー・ウォーケン
– HEADS WILL ROLL –
-荒唐無稽なお話を支える、細やかなリアリティ-
「スリーピー・ホロウ」の内容については、
ハロウィーンの部屋の方でナルシアが紹介しているので、
ストーリー以外で感心したことに触れます。
この映画は非常に楽しいホラーでした。
創りに創りこんだ世界の中で、
力いっぱいスプラッターが繰り広げられ、
そのたびに、客席から大喜びの笑いが…
しかし、この映画、非常に設定が細かく正確なのです。
イカボッドがヒロインのカトリーナに表に「小鳥」、
裏に「鳥かご」の絵のついた紙のおもちゃを回転させて見せているシーンを覚えているでしょうか?
甘いセリフ(?)をささやきながら、
「小鳥を鳥かごに入れて見せるよ」とか何とか言って。
実はこの紙のおもちゃは「ソーマトロープ」といいます。
1825年にイギリスで発明されたおもちゃです。
たかがおもちゃとあなどるなかれ。
これは、人間の目に残る「残像現象」を利用することで、
小鳥が鳥かごに入っているように見えるのです。
この「残像現象」を利用することが、後の映画の誕生につながっていきます。
・ソーマトロープ(1825)
・ダゲレオタイプ(1839)
・プラキシノスコープ(1878)
・キネトスコープ(1889)
・シネマトグラフ(1895)
→ 映 画 の誕生
「動く絵・幻燈・写真」こそが、映画を作り出した三要素なのです。
で、その正確さですが、映画のラストで新世紀を迎えるので、
映画の舞台は1900年の冬。
イカボッドの子どもの頃のおかあさんとの想い出のシーンがあったから、
おおよそでイカボッドの年齢分引いて、
イギリスとアメリカとのタイムラグで微調整して推測すると・・・。
ちょうど1800年半ばにソーマトロープがイギリスで流行り、
やがてイカボッドの子どもの頃にアメリカに伝わってきたという計算が合うのです。
非常に小さなことだけれど、
きちんと小道具の時代のつじつまが合っていることに感心してしまいました。
荒唐無稽な物語だからこそ、小さなウソはつかない。
なんだか、勝手にティム・バートンの心意気を感じているのですが。
とはいえ。
・・・検証できた「細やかなリアリティ」はこれ一点なので、大声では語れませんが。