2014
10.07

このあたりの慣習では、ハロウィーンの夜11時と日付の変わった12時過ぎに、
家で一番年長の男と一番年若い男の子が農場を回ることになっています。

夜中の11時(ハロウィーン真っ最中)は、二人が巡回すると、
農場の動物たちはどの動物も起きていて、魔女の気配を知っているようです。
蜜蜂小屋でも蜂はせわしく働いているようでした。

それが、真夜中を過ぎて(日付は変わって、11月1日つまりは万聖節)、
2度目の巡回をしたときには、動物や蜜蜂たちも静かに眠っています。

この物語では、ハロウィーンの夜、農夫は魔女が化けた3匹の動物
(フクロウ、ネズミ、コクマルカラス)を退治しています。

農夫の最後の言葉です。
“You won’t have to worry about any whiches for another
twelvemonth.”
とりあえず、これで来年まで魔女の心配はありません。

14hallo-fishface

イギリスでこの本が出版された年や物語から遡ると、1900年代初頭の農夫たちの
日常であったと思われます。

“Whiches at Hallowe’en”は『万聖節の魔女』と訳されていて、
「ハロウィーン」という言葉は物語の中にも出てきません。
この本が出版された今から30年以上前の日本では、「ハロウィーン」という言葉も
一般的ではなく、かといって「ハロウィーン」を置き換える言葉もなく、
そもそも「ハロウィーン」とは何かということにもまだ、興味や関心のなかった
時代だったのでしょう。

この物語のオリジナルは”A Sampler of British Folk-Tales”、
著者はKatharine Briggsです。
PART17 Whichesの”Whiches at Hallowe’en”が、『万聖節の魔女』です。

興味のある方は、amazonのなか見!検索で
“Whiches at Hallowe’en”の全文を読むことができます。

British Folk Tales and Legends: A Sampler (Routledge Classics)

翻訳されたものは、こちらです。
『世界の怪奇民話 (1) イギリスの怪奇民話』
翻訳:出口保夫  出版元:評論社

(シィアル)