2014
10.29

トルーデおばさんという魔女が、
グリム童話集に登場します。

この魔女は、どこかおっちょこちょいで
憎めないようないたずらをする
そのへんの魔女とは違い、
真性の悪魔女です。

短いお話ですから、どうぞおつき合いください。

あるところに高慢ちきで親の言うことを
聞かない娘がおりました。

そして好奇心から、勝手に訪ねて行って
しまったのです。
悪い女として定評のある、トルーデおばさんの家へ。

その家に入るなり、娘は後悔しますが、
震えている理由をおばさんに聞かれると、
途中で見てきた怖い人の話をして
おばさんに、それは炭焼きや狩人や肉屋だよと
言われます。
でも最後に見た怖い人は、この家の窓から見えた、
頭がぼうぼう燃えている悪魔だったと娘が話すと、
トルーデおばさんは
「それじゃあ、魔女が本式のおめかしを
しているところを見たんだね。
あたしゃ、ずっとお前が来るのを待ってたのさ。
さあ、照らしておくれ」

と言うが早いか、娘を丸太に変えて
暖炉にほうり込みました。

炎が回り、あかあかと燃える丸太に手をかざして
おばさんはうれしそうに言います。

「なんて明るいんだろうねぇ」

14hallo-spirit

トルーデおばさんは娘の魂の明かりで
冷え切った魂を温めたのでしょうか?

おばさん、おばさんもひょっとしたら
若かりし頃、高慢ちきで好奇心いっぱいの娘さん
…だったのでしょうか?

(マーズ)