10.28
ハロウィーンを楽しもう!
「トラさんトラさん」
「ゾウさんよ、1年ぶりだな」
「どうだい、上手くいったじゃないか」
「お前さんが鼻で引っ張り出してくれたからな」
「絵の中は辛気くさくていけねえよ、トラさん」
「まったくだ。で、今夜はどこへ行くね?」
「あんまり遠くへは行けないんだから、ここな博物館の隣の墓地にするかね」
「墓地に出るゾウ、なんつって。仮装して回る子どもらがビックリ仰天さ」
「それにしてもトラさんはうらやましいよ」
「何でだい」
「だってほら、今夜は柿色と墨色の祭りなんだろ。毛皮そのままじゃないかね」
「そういやそうだ。しかしワシは、カボチャのお化けは見たことないが」
「アタシだって、黒猫やらコウモリやら、普通にいるもんが
どうして怖いのか、わからんのさ」
「ワシらは偉い絵描きの筆だからな。見ただけで震え上がるさ。
そうすりゃ、またこの博物館に客が押し寄せるだろ」
「抜け雀ならぬ、抜けゾウに抜けトラ、ってね」
「どうもそれ、あんまし怖くねえんじゃないか」
「それじゃ墓場のやつらも、引っ張り出そうか」
2016年に映画が公開され、今年のハロウィーンシーズンに
遅まきながら、DVDを鑑賞しました。
http://gaga.ne.jp/zombies/
監督・脚本は、バー・スティアーズ。
原作に忠実な、とんでもない二次創作の映画化ということで、
ゾンビとの戦闘シーンは手が抜けないし、衣装や美術も。
尺も短めなので、オースティンへの文学的なオマージュは
ほとんど影を潜めています。ただし、
「高慢」と「偏見」については、最後まで
あれこれこだわりを見せてくれていました。
エリザベス役は、リリー・ジェームズ。
ミスターダーシーは、サム・ライリー。
スプラッタ度は原作より少なめです。
ゾンビをやっつける場面は、ゾンビ側の
カメラアングルも多いですし。
お金持ちが武術を学ぶ先として、
日本が話題に出てくるのは面白かったです。
ベネット姉妹は貧しいので、中国でカンフーを学んできた、と。
武器の剣は、長い物は日本刀に似た形でした。
キャラクター的にリジー(エリザベス)は文句なし、
あとはもう、このダーシーが好みかどうか。
『高慢と偏見』の映像化には常につきまとう選択です。
それは、ご覧になって判断してくださいね。
個人的には、姉妹の父親であるベネット氏(チャールズ・ダンス)が
らしさを発揮する場面が1カ所しかなかったのは残念ですが。
年がら年じゅう、ハロウィーン的なものは
まわりにあるわけですが、
特にこのコケにようなものは、
「毒々しいハロ仲間」とでも呼びましょうか。
先端に伸びた濃いオレンジの物体は、
このコケにとって、子孫を増やす花のようなものでしょう。
7月に山の集落で出会った、こういう瞬間の出会いを
魔女はすかさず、カメラに収めます。
ハロウィーンのシンボル的なキャラクターだけでなく、
ハロっているお仲間が、年月を重ねて、
ハロウィーン通信にたくさん集まってきました。
コケのような自然の造形物もそうなのですが、
お仲間のなかでも怖さが際立つのは
善良な市民が、意図せずにこしらえた飾り物
だったりします。
それこそ、私たち魔女にはもう、できない技。