2019
10.13
魔除けや除霊に効果があるハーブはいろいろありますが、
先日「魔除けのハーブ」セントジョンズワートを買いました。

私のハーブはヘロヘロですが、冬の寒さには強いようなので、
これからの復活に期待しています。
若い葉はピリッとした香りでサラダにも使えるようです。
セントジョンズワートは、オトギリソウ属のハーブです。
その大半は園芸植物としての価値はさほどなく、
薬草としての活用法の方がたくさんあるようです。
近年では「天然の抗うつ薬」として知られるようになり、実際、
セントジョンズワートで検索してみると、
ポジティブに日々を過ごすためのハーブとして
サプリメントや薬茶などが発売されています。
もともとは傷の治療薬として広く使用されていたようです。
『基本ハーブの事典』には十字軍の戦いの際に
傷口の治療に使われた記録が紹介されています。
この花の和名は「西洋弟切草」。
「弟切草」には文字通り、兄が弟を斬り殺した物語があります。
優れた鷹匠だった兄は鷹のけがの治療に使っていた薬草のことを
秘密にしていました。
しかし弟はその秘密を漏らしてしまい、兄は怒りから弟を
斬り殺してしまいました。
弟切草は洋の東西を問わず、傷の治療によく効く薬草だったのでしょう。
一方、西洋では昔から、心配や緊張を取り除き、
夜尿症にも効くとして広く使用されてもいたようです。
聖ジョンの日(6月24日 *洗礼者ヨハネ・バプテスマのヨハネの誕生日)の前夜
または夜明け前に、セントジョンズワートなどの「聖ジョンの草」を
摘む風習があり、それには魔力があると信じられていたようです。
そこからこのハーブは「セントジョンズワート」と呼ばれるようになったとか。
(聖ジョンの草には他にもエルダー、ヤロー、アイビーなどがあります。)
聖ジョンの祭りの夜にはたき火が燃やされ、煙には清めの効果があり、
悪霊を遠ざける力があったそうです。
そのたき火で聖ジョンの草をいぶすと薬になり、家畜を守り、
人や動物あらゆる悪魔や悪霊から守ってくれるとのこと。
聖ジョンの草は、悪魔を遠ざける草で、魔除けのために
家の戸口につるす地域もあります。
スコットランドではこのハーブを魔除けとして
身につける習慣もあるそうです。
2019
10.12
その前の夕方、空は燃えに燃えておりました。

そして、あの子の仮装は、黒く変化していったのです。
いよいよ、あの子は。
そして朝。

あの子は羽化していました。
ナガサキアゲハの成蝶になったのです。
オスではないかという予想は裏切られ、メスでした。
初めての室内飼育だったので、ネットで幼虫の模様から
ナガサキアゲハとはわかっていたのですが。
メスの羽には赤いポイントの入った白い模様があり、
オスは真っ黒なので、違いは一目瞭然です。

あの子は庭先のグレープフルーツで幼虫の前半を過ごしました。
あまりにも天敵が多いので、保護したのでした。

1日に2回、香る葉っぱをとってきて与え、
予想していたよりゆっくり、さなぎになっていった
養いっ子。
養い親のことは、これっぽっちも親とは思っていません。
無事に庭へ翔び立ったのは、風の強いハロウィーンシーズンの10月、
台風19号が関東方面へすすんでいる朝でした。
まだ、あちこちに花は咲いているからね。
2019
10.07
ゆで卵の中央に口を切ってハムの舌を刺し、黒い目を2つ添えたら
――そんなゴースト・エッグでハロウィーンを楽しんでいる方も
いらっしゃることでしょう。
『妖怪草紙―くずし字入門』には
数ある妖怪に混じって、
目が付いた、可愛い卵のお化けが登場します。
ここにはコピペできませんが、
絵が可愛らしいので、ゆで卵で再現してみたいなあ。
八眉の困った顔の「卵(う)」には、鳥のような足が2本。
そもそもこの本は、妖怪草紙をお手本にして、
古文書のくずし字をコワ楽しく読んでみましょう、というもの。
どうです、これなら読解力が付いていくでしょう?
著者のアダム・カバットさんはアメリカ人で、
日本の大学に籍を置き、日本文学や妖怪を研究されています。
おや、おたくの冷蔵庫の卵、まだ化けてません?
そうそう、きれいにむけるゆで卵を作るなら、
新しい卵ではなく、ちょっと「卵」に化けそうな
1週間ぐらい経ったのが向いています。
卵がもともと持っているガスが、
徐々に抜けていくからだそうです。
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『妖怪草紙―くずし字入門』 (シリーズ日本人の手習い)
著者アダム・カバット/柏書房2001
2019
10.06
香川県さぬき市の志度地区に、子どもたちが
お店を回ってお菓子をもらう風習が伝わっています。
節分の行事で、「鬼の豆をください」と言って
袋を手にした子どもたちがお店を訪ね歩きます。
そして、豆ではなくお菓子をもらい、
必ずお礼をきちんと言うのだそうです。
その礼節が、この和製ハロウィーンの肝らしいです。
保護者や先生らが子どもたちの様子を見守る姿も。
なんと、このお得な風習を考えついたのは、志度で生まれた
発明家の平賀源内先生だそうです。
友だちとお店を訪ねて、節分の厄払いで豆を撒いている店主に、
自分たちが鬼になるから、豆をくださいと頼んだのが始まりとか。
そこがびっくり。
いつから、鬼の豆が
お菓子になったのかも気になるところです。
あ、志度には源内先生の資料館もありますが、そんなことも
展示されているのでしょうか?
https://www.yomiuri.co.jp/local/kagawa/news/20190122-OYTNT50267/
2019
10.03
オレンジのカツラをかぶってカボチャ大王か
何かに仮装した鶴瓶が、でたらめなステップを踏みながら誘います。
「買わないという選択肢はないやろ~」
これはまさに、ハロってる新しいグッズを見つけた時の
私たちの心境そのもの。
いままでのオータムジャンボが、今年は「ハロウィンジャンボ」「ハロウィンジャンボミニ」と
名を変えているのを見ても、やはりその心境になります。
主催者がなぜ、このキャッチコピーを決めたのかは
知る由もありませんけれども、
ハロウィーナーとしては、これは正しい。
あからさまでありながら、ドンピシャの正統なのです。
長年集めてきた、ほとんどは二束三文のハログッズを、
まとめて展示する機会もそのうちにありそうな、なさそうな。

抽選は10月30日。31日ではないところが、ミソか(晦日)。
2019
10.02
昨日の続きで、坪内稔典さんことネンテンさんの『季語集』(岩波新書2006)より、もう一題。
蝙蝠(こうもり)であります。
蝙蝠は夏の季語なんですね。秋ではないのです。
季語のエッセイから引用します。
“「ひともしごろ」とは夕方の明かりをともす時刻である。今の時期、その時刻には蝙蝠がさかんに飛ぶ。夜の世界から来た感じで、蝙蝠はちょっと不気味だ。…略…
ひともしごろとは、昼間の人間の時間から、魑魅魍魎の支配する夜の時間へ移る境の時刻。そんな時刻に灯された灯は、不安な夜をすごす人間の心のよりどころだった。”
そう、このように、まさにハロウィーン的な書きぶりです。きっと蝙蝠は世界中で夏の終わりに飛んでいるのでしょうけど。ハロウィーンも本来は、夏の最後の日なのですから、ギリギリセーフ。
掲句は、
蝙蝠やひるも灯ともす楽屋口
永井荷風
蝙蝠や天のゆふべのおほらかに
山口誓子

2019
10.01
たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
坪内稔典
といった、どこかハロウィーン的な言葉の遊びが楽しい
俳人・坪内稔典さんことネンテンさんの『季語集』(岩波新書2006)に、
「ハロウィーンと亥の子」と題した短い文章があります。引用します。
“…日本にも同様の行事がある。陰暦10月の最初の亥の日に行われる亥の子。やはり収穫感謝祭であり、一般的には亥の子もちをついて祝う。
私の育った村では、子どもたちが石を縄でくくり、歌をうたいながらその縄を引いたりゆるめたりして家々の地面を打った。そして、蜜柑や菓子をもらった。もらいが多いと「ここの屋敷はよい屋敷……」と唱え、不満があるときは「ここの屋敷はボロ屋敷……」と叫んだものだ。”
プロフィールによると、育ったのは愛媛県の村のようです。
亥の子餅は玄猪餅(げんちょもち)ともいわれ、
中国から伝わった無病息災の風習です。
特に珍しい素材が入っているわけではないので、
普通にあんこをくるんだ白いお餅でもいいのかなと思います。
お店などではイノシシの子どものウリ坊風の筋を入れてかわいらしくしていたりしますが、
ハロウィーンと引っかけてキャラクター化は…おそらく、していないでしょう。
ともあれ、ハロウィーンは秋の季語になっていたのでした。
ネンテンさんが選んだ掲句は、こちら。
ハロウィーン百のかぼちゃが声あげて
屋部きよみ