Home » 出会い » 台所の転入生。
8月
27

数年前に他界した祖母の家は、空き家になっている。
そこで生まれた母はなぜか独りで家に入れないので、月に2度ほどの
訪問は、私がお供をすることになった。
仏壇のご先祖に挨拶をして、最近は神棚も勝手にリ・デザイン。
さて、梅雨のころに台所を片づけていて目を付けていたものが。
7年にわたる長い入院期間を含めて、母は実家の台所にはほとんど一切の手を
加えず放置していたのだった。片づけようとすると頭が痛くなるもののようだ。
目を付けていたのは、厚いアルミ製の小さい「おたま」。というより「金じゃくし」かな?
うちに1本だけあった小さいおたま、先日ついに柄が折れてしまった。
それで、今日の訪問で、ついに持ち帰った。
母も、家の小さいおたまがなくなったので、反対しなかった。
改まった形見分けもほとんどしてないけれど、まさかこんなものを
もらい受けてくるとは、思いもしなかった。
祖母に手料理を食べさせてもらった記憶がなくて、
これでどんなものを作っていたのかも知らない。
うちの台所に来た転入生に、第二の(まさか第三ではないだろうから)
ロングライフが始まろうとしている。
そういえば、うちにも古い普通サイズのアルミのおたまがある。
これは軽く40年以上、ひょっとすれば50年もの。
同居していた父方の祖母が残した、ささいな道具であるが、
なぜか出番は減っても、捨てられていない。
これらを並べると、まるで
親子のようでもある。