昼から、各駅停車の列車で1時間あまりの町へ出かけ、帰ってきた。
私にとっては初めてに近いことである。
現地にいたのは1時間半ぐらい。
その町へは割とよく行くのでそれなりの土地勘はある。
ふだんクルマ社会の人間なので、車窓の景色を確認したかったのと、
のんびり独り旅をしてみたかったのだが、
結果としては車窓からの確認ぐらいしかできなかった。
あと、乗り合わせた女子大生二人の恋愛模様を
いやおうなく耳に入れさせられた。
訪ねたのは400年ほど前にその地を治めていた領主を
祀った神社と、かなり古い喫茶店。
雑貨店にも行く予定だったが、隣駅へ移転していたらしく、
露地をさまよったのみ。
本も持たず、長距離を歩く体力もないしで、
30分以上時間が余ってしまった。
そうそう、駅弁を買って車内で食べる、というのも
実行できた。
冷えた鰻丼はおいしいとはいえなかったけれど。
前々からしたかったことを敢行した割に、
疲れはあるが、満足感は少ない。
訪ねる町を選び損ねたのかもしれないし、
そもそも、そういうことが楽しめないつまらぬ人間に
なったのかもしれない。
なぜか地元駅の券売機で切符を買うのに
手間取っていたら、年配の職員が来て助けてくれようと
したのだが、その人も買い方がわからず、
有人の窓口で買うことになってしまった。
しかも切符は、思った以上に高かった。
もし今度、独りでどこかの町を訪ねたくなったら、
クルマで行くことにしようと思った。
それならば、心配なく、のんびり独り旅ができるだろうと。
つまらないけれど、のんびりと独り旅はできる。
でも、列車独り旅につきものの、乗り間違いを危惧する
ドキドキ感は減るだろう。
4月
17