Home » 世にあって » 私のための最初の家具
5月
21

ベビーダンスと呼ばれる家具は、本来、親がごく小さい子どものために
買うものなので、少なくとも10才ぐらいになったら、
親の手で処分しておくほうがよいと思う。
うちの場合は親が処分せず、捨てる決心のつかなかった未婚の娘つまり私が、
おそろしいほど何十年も部屋に置いて、眺めては気を滅入らせていた。
ちなみにこの娘、ちゃんとした箪笥の類いを持っていない。
ベビーダンスは主に死蔵品の物入れとして使っていた。
買ってきて2年越しの棚を組み立てたので、ついにベビーダンスとの生活を
やめることを決意した。人生このままではいけないのだ。
一応母にも聞いたが、さすがに反対はされなかった。協力も。
そして昨日、扉のところにミッキーマウスの絵が入った(娘はミッキー好き
ではなかったが)ベビーダンスを二階の廊下から独力でガキゴキと
階下へ運び降ろし、階段下の角が曲がりきれなかったので
計画を一部変更して、広い裏口から出すことにした。
裏庭の門を出て、路上経由で回転させながら前の門から入り、いまは軒先で
来週の粗大ゴミの日を待っている。
自分でもよくやったというか、搬入をする時のパワーみたいなものが出た。
今回引き出しを抜いてみてわかったが、底がベニヤ板ではあるものの、
他のパーツは木で、けっこうしっかりしていた。
ベビーダンスのあった廊下には、白いラックと猫タワー、
木の椅子を置いている。
紙であふれている室内にくらべれば、ほっとする空間になった。
設計集団ピトリピコリの代表の方が以前書いていたように、
今いる場所で満足して暮らせるように工夫や努力をすることが
まず大切で、新しい建物以前の問題なのだった。
ずいぶん時間がかかったけれど。
春から並行して始めている仕事の資料(ほとんどが単なる経過記録)捨ても、
なんとか夏には終わらせたい。