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2月
09

数年前に、年度末締切の長期仕事をかかえていた。
それが終わったころから始まった3年がかりの長大な仕事。
当初考えていた以上の割り当てをもらってしまった。
いよいよ締切が迫ってきて、予定では遅くとも
年度末までには仕上げねばならない。
住民ではないが関わりの深い町の町史をつづる。
謙遜でなく、こんな若輩者が携わってよいのかという悩みとともに
山の頂上をめざしている。
ただ、ここ10年ほどの、町を築いてきた産業との関わりのなかで
見聞きしてきたことや、新しく研究されたことなどの
近くにいたために、うまく書こうとしなければ、適任なのかも
しれないとも、思う。
地元でもそれだけ外向けに知られてないことが多く、
事情を最も知る人は、文章を書くのが苦手だという。
もちろん私の把握していないことがらもたくさんあるが、
おそらく把握されないまま終わるだろう。
20年以上前に、フリーで仕事を始めた時、
この産業に関わることには、社会的な貢献をしたいと
願ったし、できる限りのことはしてきたつもりだ。
その決意に従えば、断れない誘いだった。
40年以上にわたるできごとを書き残す今回の
町史の仕事が、私の力の及ぶ限りのことなのかどうか、そこが問題だが。
道を逆戻りすることはできないのだ。
キャラバンの一員となった以上は。
足許を踏み外さないように、進んでは休み、せめても
この荷物を良い状態で届けたいと願う。
頂上から眺める景色のことなど、考えずに。