10.28
貴方は──かの畏るべき神々、
果て知らぬ外宇宙から太古の地球に飛来し、
そして今なお人知れず潜む物共をご覧になった事があるでしょうか。
ある筈はない。
もし目の当たりにすれば一瞬のうちに狂気の淵に追いやられる
禍々しき〈旧支配者〉達の姿など。
それは夢と現のあわいに異次元を垣間みる能力を持つ
一握りの者にのみ可能な──
この春、書店店頭で、創刊ほぼ50年を迎える老舗月刊誌
「SFマガジン」五月号の表紙に
いつものイラストとは異なった異形の立体像を見て
一瞬驚いた方は多いと思います。
あの邪神像を造られたのは、
美術造形とは全く畑違いのお仕事をされている「雪狼」さん、
材料はなんと子供達に人気の文房具、
香り付きカラー練り消しゴム、通称「練り消し」。
画材用のものではなく、ある時、なんとなく、
そこにあった児童用の練り消しを混ぜて
こねてつついているうちに、手の掌の上にちょこんと
「ひとりでに」いにしえの神々が降臨なさってしまったそうです。
潜在意識が禁断の空間と連絡している者の一員と言えましょう。
ブログに載ったミニ邪神の評判は
世に言う『クトゥルー神話』ファンの間に広がり、
怪奇コレクター・東雅夫氏の目に留まりました。
オンライン書店ビーケーワンの公募掌編からなる〈手の掌怪談〉の
クトゥルー神話版として出版された
『リトル・リトル・クトゥルー』東雅夫編/学研 には、
表紙と挿絵にシュブ=ニグラスだの、ハスターだの、
好事家の方にはお馴染みの異形達が忌まわしくもカワイくお目見えして
います。
それにしても人間のSPECは計り知れないものがありますね。
この秋、皆様もまったく思いもよらないご自分の才能に目覚められるか
も。 → つづく
(ナルシア)
2010年10月28日(木)