2019
10.01

たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
坪内稔典

といった、どこかハロウィーン的な言葉の遊びが楽しい
俳人・坪内稔典さんことネンテンさんの『季語集』(岩波新書2006)に、
「ハロウィーンと亥の子」と題した短い文章があります。引用します。

“…日本にも同様の行事がある。陰暦10月の最初の亥の日に行われる亥の子。やはり収穫感謝祭であり、一般的には亥の子もちをついて祝う。
 私の育った村では、子どもたちが石を縄でくくり、歌をうたいながらその縄を引いたりゆるめたりして家々の地面を打った。そして、蜜柑や菓子をもらった。もらいが多いと「ここの屋敷はよい屋敷……」と唱え、不満があるときは「ここの屋敷はボロ屋敷……」と叫んだものだ。”

プロフィールによると、育ったのは愛媛県の村のようです。
亥の子餅は玄猪餅(げんちょもち)ともいわれ、
中国から伝わった無病息災の風習です。
特に珍しい素材が入っているわけではないので、
普通にあんこをくるんだ白いお餅でもいいのかなと思います。
お店などではイノシシの子どものウリ坊風の筋を入れてかわいらしくしていたりしますが、
ハロウィーンと引っかけてキャラクター化は…おそらく、していないでしょう。

ともあれ、ハロウィーンは秋の季語になっていたのでした。

ネンテンさんが選んだ掲句は、こちら。

ハロウィーン百のかぼちゃが声あげて
屋部きよみ