2019
10.02
10.02
昨日の続きで、坪内稔典さんことネンテンさんの『季語集』(岩波新書2006)より、もう一題。
蝙蝠(こうもり)であります。
蝙蝠は夏の季語なんですね。秋ではないのです。
季語のエッセイから引用します。
“「ひともしごろ」とは夕方の明かりをともす時刻である。今の時期、その時刻には蝙蝠がさかんに飛ぶ。夜の世界から来た感じで、蝙蝠はちょっと不気味だ。…略…
ひともしごろとは、昼間の人間の時間から、魑魅魍魎の支配する夜の時間へ移る境の時刻。そんな時刻に灯された灯は、不安な夜をすごす人間の心のよりどころだった。”
そう、このように、まさにハロウィーン的な書きぶりです。きっと蝙蝠は世界中で夏の終わりに飛んでいるのでしょうけど。ハロウィーンも本来は、夏の最後の日なのですから、ギリギリセーフ。
掲句は、
蝙蝠やひるも灯ともす楽屋口
永井荷風
蝙蝠や天のゆふべのおほらかに
山口誓子