2012
10.21

こわい話とはどんな話なのだろう、とさんざん考えていると、
北村薫・宮部みゆき名コンビによる対談付きアンソロジー
「謎のギャラリー」シリーズから、
『こわい部屋』(2002年 新潮文庫)におまけの一編をつけた
『こわい部屋』(2012年 ちくま文庫)が新刊で積まれていました。
これを天佑という‥‥?

12hallo-niou

この読み巧者書き巧者のお二人のおすすめ作品は、
なんといっても文章としての完成度が高い。
怖いか、というとやはり「びっくりする」とか「気持ち悪い」、
「高い所・狭い所はイヤ」といった系列に入るものも多いのですが、
文章を読んでみて、なるほどー、これはさすが、と
書き方に感心するものばかりです。
だから「こんな話」と内容を語っても怖くない。
「読んでみて」話の中に身を置くしかありません。

十六歳にして完璧な作品、と当時話題になった、
人気作家・乙一のデビュー作『夏と花火と私の死体』もまるごと収録。
おなじみ巻末対談は、収録作以外の作品の話題にも花が咲き、
二人してどんどん深沢七郎で盛り上がる。
ですよねー、深沢七郎すごいよね、採られてないけど、と
自分もなんだか一緒になって盛り上がってしまいます。
(ナルシア)

『こわい部屋 謎のギャラリー』編:北村薫 / 出版社:ちくま文庫2012
『謎のギャラリー こわい部屋』編:北村薫 / 出版社:新潮文庫2002