2006
10.11

扉がまたバタンと音をたてた。
わたしは丁寧に頭を下げた。
招かれたのだったら、調子を合わせるべきだと
思ったが、招かれざる客にできるのは、
それが精一杯だ。

s-ghostandcat

こういったことが十一回繰り返された。
かさかさいう音がして、
絨毯が波打ち、鼠の足音が聞こえ、
扉が開いたり閉じたりする、
そして悲しげな主人の声がわたしを
幽霊に紹介する。

――「食卓の十三人」より

著:ロード・ダンセイニ
訳:中野善夫
『世界の涯の物語』収録
河出文庫