2014
10.11

十月の町のあちこちで、黒とオレンジの
ハロウィーンカラーの飾りつけをみかけるようになりました。

でもちょっと待って。
もしハロウィーンのジャック・オ・ランタン
アメリカ式のオレンジ色のカボチャじゃなくて、
アイルランド仕込みの地味なカブのままだったら、
ずいぶん印象が変わってしまいますよね。

もともとアイルランドでハロウィーンのランタンに使ったカブは
「スイード」とも呼ばれる黄色がかった種類のカブだそうです。

半透明のカブを透かす淡い炎のゆらめき。
闇に浮かぶ大きなカブの顔のしなびた目鼻。
かなり怖いな‥‥と想像していて、ふと思いついた事が。

宮崎駿監督のアニメ作品『ハウルと動く城』に登場する
大きなカブで頭ができているカカシの「カブ」って、
本家風ジャック・オ・ランタンじゃないでしょうね?

あわててダイアナ・ウィン・ジョーンズの原作小説
『魔法使いハウルと火の悪魔』(徳間書店)の
書評を書いたマーズを召還すると、
さっそく蔵書の山を掘り返して
カブ頭のカカシの描写を拾い出してくれました。

しなびた蕪で出来たカブ頭“turnip-head”の中身は、
ランタン用にくりぬかれているのかいないのか。
マーズによると、頭の中に、
ある物が収まる場面があるので、
くりぬかれていたのかもしれないとの事ですが。

でも、収穫期にまるでヒトの頭のような作物が
畑にごろごろしていれば、それをひょいと
カカシの頭に使うのはごく自然な事でしょう。
頭に蕪を使った案山子の出てくるお話は
そういえばむかし児童書や怪奇小説で読んだ気もします。

英国のカブを使ったカカシを見てみようと思い、
「turnip(蕪)」「scarecrow(カカシ)」で検索すると
どどどっと「Howl’s Moving Castle」(原作本の原題)が、
しかも原作本以上にアニメ映画版の
キャラクター紹介がネット検索の上位に並びました。

すごいわ、カブ!というか世界のミヤザキ!
原作のカブ頭のカカシは相当ブキミだそうですが、
アニメ版のカブはものすごくいい子だもの。

‥‥キャラクターの人気は良くわかりましたが、
やはり昔から英国圏のカカシは頭にカブを使うようで、
まるで本物のヒトのように畑に立つ、良く出来た
「昔ながらのカブ頭の案山子」の画像も見ることができました。

どうやらカカシのカブは、ランタンではないようです。
普通のカカシは農夫のお古を着ていますから、
黒服の正装のカカシなんて、
少しハロっぽい気がしたんだけどなあ。

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あっ!そうだ、ジャックだ!
ジャックに似てるんです。
ジャック・オ・ランタンに、というより、
極めつけのハロウィーン映画
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の主人公、
ジャック・スケリントンに!

アイルランドのカブのランタンは
頭蓋骨を模したものなのだそうです。

となれば。
カブでできたジャック・オ・ランタンを間に置いてみれば、
骸骨のジャックとカカシのカブは兄弟のような関係?

(ナルシア)

『魔法使いハウルと火の悪魔』 
著者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
翻訳:西村 醇子
イラスト:佐竹美保
出版元:徳間書店1997

☆文庫版(2013)もあります。

DVDはこちらです。
『ハウルの動く城』(デジタルリマスター版)