Archive

Archive for 2月, 2017

2月
20

薔薇の名前は

つるバラを庭に植えた。植えてしまった、というべきだ。

花好きだった祖父は裏庭の塀に、濃いピンクのつるバラを育てていた。

祖父が亡くなっても7,8年は咲いていた。やがて枯れてしまったのは、

今思えば、水さえお天気まかせで

肥料なども一切やらなかったせいだ。

ずっと忙しくて、バラを庭に育てる余裕などないと思っていたが、

昨年末に部屋の片付けをしたのがきっかけで、

仕事が10年ぶりにひと段落ついたこともあって、年明けから

これまでできなかったことを、少しずつやっている。

1月のある日、近所の園芸店で、バラの苗が

たくさん並んでいるのを見た。

つるバラを植えるという大胆な思いが胸をよぎり、

見るだけだからと打ち消して苗を見ていると、

シリウスという白くて芯が淡いピンクのバラがあった。

といっても、冬の苗はまだ葉も出ていない。

京成バラ園の札に、花の写真が印刷されていたのだ。

お店の人に聞くと、今がまさに植える時期で、遅くても

3月までには植えねばならないという。

その日はそのまま帰った。

そしてまた、ある日、見にいった。もう2月である。

シリウスはまだ売れておらず、他の苗も減っていない。

この地の気候は、そもそもあまりバラ向きではないし、人もバラ向きではない。

その時は、スコップと土を買ってみた。小さな葉が出始めている。

そしてとうとう、ある寒い日の夕方、シリウスを買って帰った。

肥料も添えて。買ってから、しまったと思った。

自分の手に負えるものではないのにと。

でも、もう小さな葉がたくさん出ている。

買ったからには、土に植えねばならない。つるバラは。

直前になって、やはり裏庭は気候条件が厳しすぎるので

初心者としては、南の庭にしようと変更する。

車庫のブロック塀に沿って、南に面した、家の建物から

見えない場所なのだが。そこに祖父がずっと前に植えた

深紅のバラが、まだ生きているのだ。だからバラ向きのはずだと。

夕方、スコップで土を掘り、肥料も適当に入れて、

シリウスを植えた。とてもしっかりした苗である。

そしてシリウスはその日も、翌日も、

肥料の匂いに引き寄せられたアビィに根元を掘られた。

その都度、何とか土を埋め返して、少しずつ

葉を伸ばしているように思うが、まだ10日だから何ともいえない。

枝が伸び始めたら、支柱を立てねばならない。

形をどうするか、決めかねている。

悪い虫が付いたら、消毒薬も買ってこよう。

四季咲きのシリウス、ほんとうに咲くだろうか。

この冬に、やっとわかるようになった星と同じ名前の

つるバラ、シリウス。

ナルシアがいたら、シリウスをどう世話すればいいか、

あれこれ聞いていただろうに。

 

 

2月
09

引き寄せる。

冬ブロッコリーの甘みのある茎を

ゆでて食べたいと思っていた。

去年の冬に食べた味が、ずっと舌に残っている。

ちょうど数日前にブロッコリー畑の取材もしたのだが、

そこのは口に入らなかったので、よけいに

思いが募っていたのだろう。

アビィの夜の散歩で、近所の人が

夜なべ仕事の作業小屋から出てくるのに行き合う。

その家がどんな野菜を作っているのか、前々から気になっていた。

たずねたら、ブロッコリーだと言う。

気前よく、収穫したての2茎のブロッコリーを分けてくれた。

意気揚々と帰宅して、すぐにゆでて食べる。

茎が甘くおいしかったのはいうまでもない。

ありがとう、冬ブロ。

次は春ブロを(笑)