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Archive for 3月, 2013

3月
18

ときわの秘密

常磐御前とは多分関係ないが、トキワツユクサ(常磐露草)が
外来種だったとは。
葉が紫色のトラディスカンチャーを知人が育てていて、
これはトキワツユクサの園芸種なんだ、と思ったら。
トキワツユクサは昭和初期に日本へ持ち込まれてから
野生化していった外来種で、本来、ここにあるべきではない
植物だったのだ。
あるべきでない、といっても、
いろんな生命種が国境を越えてたくましく
生き残っている、あるいは在来種を駆逐しているので、
いまさらしようがない面もあるし、
初夏にトキワツユクサが日陰で咲かなくなったら、
とても残念なことだ。
いかにも、日本生まれなんですと言いたげな
あの花の風情は、適合がうまくいった例なのだろう。
木立の足下が好きなのか、
鎮守の杜に群生しているのをよく見かける。
日本の神様も、白い星のような花を気に入ったのだろうか。

3月
14

巡り来る、逝く

2月最後の日に、ルーを看取った。
安らかな顔が救いとなった。
15年と半分、一緒にいた。
あの、忘れられない9月1日に託された子犬。
2年ほど前から、坂道を転がり落ちるような老いにとまどっていたのは、
誰よりもルーだったのだろう。
老いるのは自然なことなのだが、
後半生はアビィとの関係で苦労をかけた。
このごろアビィが門のところで落ち着かなげに
クンクン鼻を鳴らすのは、そのへんを走り回る白い幻を
見ているのかもしれない。
最晩年は雨が降り始めると洗濯物のように濡れてしまって、
私までも雨が仇(かたき)になっていたが、
久しぶりの雨にも穏やかな気持ちでいられる。
ルーが明け方に逝き、雲ひとつない穏やかな朝がきて
伯母の四十九日が無事に終わった。
今日、お宮の山桜に一つふたつ、花びらが開いていた。