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Archive for 8月, 2011

8月
31

咲いてみよう。

小さな花は、おそるおそる咲いた。
短い2本の切り花、
黄色い花が終わったら水中に根がのびてきて、新しい蕾が
顔を出したから、そのまま窓辺に飾っておかれた。
でも、最初のつぼみは枯れてしまった。
次のつぼみも、開かなかった。
だからもう、長く伸びた根ごと、コップから出して
ごみ袋の一番上に捨てられていたのを、
哀れに思ったゴミ出し係に拾われ、陽の当たる
窓辺のコップに移し替えられた。
そして何度もつぼみを作ったけれど、
どうしてもコップの中では咲くことができないのだった。
そこで、やっと鉢の中に植えてもらって、土を頼りに
陽の当たる庭先で暮らすようになった。真夏の陽を浴びて。
最初のつぼみは、いかにも咲きそうだったけれど、
枯れてしまった。
もう黄色い色が、そこにのぞいていたというのに。
とうとう、ある朝のことだったか、
小さな花は、おそるおそる咲いた。
最初の花は、まだ上手に開かなかった。
それでも、以前楽しんだ黄色い花を思い出させてくれた。
次の花は、もっと上手に開いた。
3つ目の花は、のびやかに花びらをひろげた。
今はいくつものつぼみが、咲く時を
当たり前のように待っている。
ぞんぶんに咲いてくれるのだろう。
秋が来るまで、まだ時間があるのだから。
小さな花は、咲くことを思い出したのだから。

8月
28

ゆく夏

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に 逢わむとぞ思ふ

崇徳院
8月26日は崇徳上皇の命日。夏の終わりである。
今日、夏の終わりに旅立つ人を見送った。
その人の命日もまた、26日。
式典の最中、錦の雲が迎えに来たという。