8月
05
この夏は、仕事でたびたび早朝の山へと赴いた。
夜明け前からのこともあった。
その清涼な時間に、清涼な山の畑で
シシトウを作っている農家のもとへ。
ビニールハウスではない、露地の畑。
やはり、露地は良い。
そういう仕事をしている人特有の、工夫した道具も良い。
真っ暗な中で、ヘッドランプをつけて収穫をするうちに
夜が明けてくる。
澄んだ一日のはじまり。
また別の朝には、お山の上のスイカ畑へと赴いた。
なんという風景だったろう。
本当は乗ってはいけない軽トラックの荷台へ
皆で乗せてもらい、狭い道を、ゆっくりと走るジェットコースターの
ように上がっていった。
山のてっぺんが、スイカ畑になっている。
露地のスイカの姿を久しぶりに見た。
一見わからない葉っぱの影に、大きなスイカが
ちゃんと育っている。
ほかのスイカが終わる頃に、里へ出てくる。
引き合いが多く、すぐ売り切れてしまう。
山の上で切り分けて食べさせてもらったスイカの味。
しっかりとした甘さ。食感。まだ夜露でひんやりしている。
平場のビニールハウスで作る芸術的なまでの
甘いスイカもすばらしいけれど、
お山のスイカには、山の暮らしそのものが
宿っている。しっかりと。