5月
17
あれは何かしら。
これはいったい、どういう意味かしら。
運転中には、そういうことにとらわれてはいけない。
瞬間、とらわれたために、コツンと(あるいはガチャッと)
前の車にぶつけてしまった。
気を取られていたのは、石碑に刻んだ文字。
つい、顔を振り向けてしまったのだ。
怪我もなく、相手の車のわずかなキズで済んだけれど、
全面的に非があるため、こちらの保険を使って修理をすることとなった。
バンパー交換になるだろう。
このごろ、田舎へ行くと石碑を読んでいた。
たいていは道路やダムなどの改修記念碑で、それが意外にも
美文というか、功績を讃える文章がはなばなしく、
気宇壮大というべきスケールなのだった。
もちろん、運転しながらそんなところまでは読めない。
そもそも、美文調は裏面だし。
表にはただ、改修記念と彫ってあっただけ。
振り返る必要などないのだが、油断していた。
日々の好奇心がそのまま仕事になってしまうから、
おそらくこれからも、全面的には止められまい。
今は合意があれば現場へ行かなくても
警察署でこと足りることを知った。場合によりけりだが。
警察へ電話をしたら、まず、「事件ですか事故ですか」と
きかれるということも、わかった。事故処理の手順も。
しかし。
油断はいけない。目の前にあることに、できるかぎり集中して。
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あれは 何かしら。